HOME > 協会コラム > その他 > 【イベントレポート】理事長セミナー「宅建業法改正で不動産市場はどうなる? 業界激変時代の新パラダイム」

協会コラム

住宅診断に関わるコラムを掲載しています。

コラムTOP > その他 > 【イベントレポート】理事長セミナー「宅建業法改正で不動産市場はどうなる? 業界激変時代の新パラダイム」

【イベントレポート】理事長セミナー「宅建業法改正で不動産市場はどうなる? 業界激変時代の新パラダイム」

その他

2018-05-18

「人と住まいのより幸せな関係」を目指して

2008年4月18日に任意団体として立ち上がった当協会は、このほど設立10周年を迎えました。
設立以来の理念である、日本の「人と住まいのより幸せな関係を追求し、その思想を世の中に広めること」を目的に、ホームインスペクション(住宅診断)の普及・啓発、ホームインスペクター(住宅診断士)の育成および支援に関する事業を、よりいっそう推進してまいります。

その一環として、当協会では今年、月1回の頻度で、首都圏を中心にさまざまなイベントの開催を予定しています。
ホームインスペクションの担い手である当協会公認ホームインスペクター(認定会員)や、理念に賛同して入会した一般会員だけでなく、住まいの「主人公」である消費者の方にこそ、積極的に参加していただきたいイベントです。
キックオフイベントとして、去る5月8日(火)に、東京・新宿において、当協会理事長・長嶋修によるセミナーを開催しました(上の写真は配布資料です)。
テーマは、「宅建業法改正で不動産市場はどうなる? 業界激変時代の新パラダイム」。
宅建業法? 不動産? パラダイム??? なにやら難しそう、と思うかもしれませんが、そんなことはありません。

宅建業法の改正で何が変わる?

上の写真は、この4月1日から施行された、改正宅地建物取引業法について、長嶋が解説している場面です。
法律のどの部分がどのように変わったのか、おそらく正しく説明できる方は(失礼ながら)宅建士さんでも少ないのではないでしょうか。
先ず、理解しておきたいのは、中古住宅を売買する際に「インスペクションが義務化されるわけではない」ということ。
国土交通省の公式資料(下の写真)をご参照ください。インスペクションに関係するポイントは、図の中央部分、①②③の3つの場面です。宅建士に課せられた最初の義務は、依頼者(売主または買い主)に対して「インスペクションのあっせんの可否を示す」ことであり、依頼者がもし「あっせんしない」と判断すれば、インスペクションはやらずともよいのです。

法改正後に考えられるさまざまな問題点

とはいえ、中古住宅の売買には、インスペクションは必要です。
今回の法改正により、インスペクションという専門用語が、世の中に浸透するきっかけとなるでしょう。それはとても良いことなのですが、実は、懸念される点も多々あるのです。4月以降、取引の現場では混乱しているとよく耳にします。
例えば、媒介契約締結という場面で「インスペクションのあっせんの可否を示す」ことがタイミングとして適切なのかどうか。もし「あっせんする」となって建物状況調査(インスペクション)の報告書があがってきても、宅建士はその内容を依頼者に説明できるのかどうか。
さらに懸念されるのは、取引を急ぐあまり、インスペクションをあっせんする義務を負う宅建士側と、インスペクションを行なう業者との癒着です。可能性はゼロではありません。

海外におけるインスペクション

実は、業者間の癒着という問題は、かつてはイギリス、オーストラリア、アメリカなどでも起こりました。
今から14年前にアメリカの中古住宅市場を視察し、アメリカホームインスペクターズ協会(ASHI)に親しい友人もいる長嶋によれば、かの国では第二次大戦後の好景気を背景に、数多く建てられた新築住宅が、一斉に中古物件となったことで、必然的にホームインスペクションが求められました。同時に、さまざまな問題が起こったものの、紆余曲折を経て、やがて住まい手の側に立ったインスペクションが社会に根付いていったそうです。
ここで、長嶋が力説したのが、行政によるトップダウンではなく、ホームインスペクションを業として行なう者たちのボトムアップによって、あるべき姿になっていったという歴史的事実でした。

インスペクション黎明期を越えた先で必要とされるスキルとは?

諸外国が歩んできた道を、約半世紀ほど遅れて歩み始めた日本。新築信仰が強いこの国で、果たしてホームインスペクションは正しく根付いていくのでしょうか?
成否のカギとなるは、中立を堅持した第三者的な立場から、住まいの”健康状態”を診断し、誰に対しても偽ることなく、必要に応じたアドバイスを行なえるインスペクターの存在です。宅建士も、自社物件を調査することはできなくても、インスペクションの知識を身につけておけば、依頼者のちょっとした問いにも正しく答えられるので、信頼度を増すことに繋がります。
同時に、住まい手の側も、プロによる調査診断結果であっても、疑問に思ったことは質問できるよう、日頃から準備する必要があります。何も知らないままだと、いったい何を質問したらよいのか、手を挙げることすらかないません。
当協会が毎年実施している「JSHI公認ホームインスペクター資格試験」は、建築や不動産の知識だけでなく、行動倫理についても厳しく問います。この資格試験は、インスペクターの育成だけではなく、住まい手の方にこそ受けてほしいと、団体設立当初から企画して、今年で実施10回目を数えます。勉強の手始めとして、当協会発行の『過去問題集』や『資格試験テキスト』を手にとり、ページを1枚捲ってみてください。スタートラインは誰で同じ。何歳になっても、勉学は身を助けてくれます。

懇親会はさらなる学びと気付きの場

協会設立以前から不動産業界に身をおく長嶋は、中古住宅の成約率を上げるヒントから、不動産業界のみならず社会全体で予想される大変革(パラダイム変換)まで、約80枚のスライドを使ってテンポよく解説、終始わかりやすい言葉で参加者に語りかけました。最後は駆け足となりましたが、終了後に回収したアンケートでは「満足した」という感想が殆どでした(講師ともども胸をなで下ろしております)。 アッという間に予定時間が終了。質疑応答コーナーでは、熱心に耳を傾けていた来場者から、突っ込んだ質問も上がりました。
質疑はそのまま懇親会へと持ち越され、大いに盛り上がりました。もっと話を聞きたいと飛び入り参加もあった懇親会では、くつろいだ雰囲気のなか、人と人との新しいつながりが生まれ、来場者同士の交流を深める貴重な場となりました。たまたま並んで座ったお三方が、奇しくも同じシロアリ駆除業界に属していたことが名刺交換によって判明したり、そのようなサプライズ?は、懇親会の場でないとなかなか生まれません。
行きたかったが都合が合わなかった・・・・・・という方は、同じ内容で東京八重洲会場でも理事長セミナーを開催します。
理事長セミナー[B日程] 日時:5月15日(火)18時30分スタート(開場 18:00予定)
定員に達するまで受け付けますので、ぜひこちらの案内ページからご応募ください。
皆さまのご参加をお待ちしております。

HOME > 協会コラム > その他 > 【イベントレポート】理事長セミナー「宅建業法改正で不動産市場はどうなる? 業界激変時代の新パラダイム」
ページの先頭へ